あいつの本

2017年06月29日 22:37



あいつの本が出来上がってきた。

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マンション売却

2017年05月30日 13:26

今日はマンションの受け渡しをする日だ。
代金と権利書を交換する。

10年前に買った時は、あいつが「代理」で銀行の窓口に行って振込みをし、
その用紙を売り主と仲介不動産屋がその場で確認して権利書等々を受け取った。
今回は現地に行かずに済ます。


契約は買いとる不動産屋との間で既に済んでいて、手付金も受け取っている。
司法書士には権利書、移転手続き依頼書、委任状、印鑑証明を送ってある。




午前中に振り込んだという電話があり、ネットで確認し、その旨返事する。
30分程してから司法書士から確認の電話があった。

これでおしまい。
随分とあっけない幕切れだった。


今日明日にも残った荷物を廃棄して505号室のリノベーションが始まり、あいつの痕跡は無くなってしまう。

権利書の効力は無くなったがどうすると聞かれたので、
記念に取って置きたいというと、1ケ月後に送るという。



SPACEWARP3500

2017年05月28日 12:49



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鋼球が平行チューブのコースを回り、ギミックを通って下まで行くとエレベーターに乗って天辺に戻り、また落下していく。
今頃こんなオブジェを組み立てる事になるとは思わなかった。


「あいつ」は窓際にオブジェをいくつか飾っていた。
横浜から引き揚げてくるときに確認したが「いい」というので置いてきた。
メールで買った時期を調べたら、どれも独身寮からマンションに移った2006年頃だった。
新しい自分の城を飾って満足度の高い日々だったのだろう。それで敢えて持って帰らなかったのかもしれない。
そう思うと居ても立ってもいられなくなって、マンションを買い取ってくれる不動産屋に頼んで送って貰った。

荷を開けてみると、何と埃まみれだった「ジェットコースターみたいな」オブジェは分解されて綺麗に掃除されていた。
室内のスナップ写真を元に復元を試みたが、その積もりで撮ったものではないので全く役にたたない。

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30年も前に発売されたものだが、根強い人気に10年前にバンダイから再発売されたSPACEWARPというシリーズで、今でも「新品」が取引されている。
幸いな事に法外な値段で新品を買うこともなく、外箱が少し草臥れた未開封の中古が手に入った。

取説と首っ引きでなんとか復元した。スナップ写真だけではとても元には戻らない。
「留め具」は陽に当たって脆くなり壊れてしまうものがあったが、白い「線路」はそのまま使えた。ベースやエレベーターも使ってないのでもう1台組めるくらい残った。


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一緒に送って貰った猫ちゃんは「夢ねこヴィーナス」というロボットだったが、壊れているようで電池を入れても全く反応しなかった。



只今校正中

2017年05月25日 01:30



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「あいつ」は未完を含めて34編の長編小説と41編の短編小説を遺していた。
あいつが生きていた証にと、その中の「ライトノベル作法研究所の高得点作品掲載所
に取り上げられた4編の長編小説を本にする事にした。
400~500ページの分厚い本になりそうだ。

その本のゲラ刷りを校正中。
最初に形式を統一させる為の校正をしたら、こんなに沢山付箋が付いた。
次に、中身の校正にかかっている。
誤変換や入力ミスは殆ど無い。
極力あいつのオリジナルを尊重しているが、ンーという箇所がどうしても出てくる。

例えば作品の最後に「プロローグ」なんて書いてあると「エピローグ」に治したくなる。
読んでみると別の登場人物の視点で物語を再構成したあとで、更に別の登場人物に冒頭の場面を語らせている。
内容はプロローグなのだが、小説中の機能はエピローグである。
んー。

普通なら作者と打ち合わせする所だがあいつは天国に行ってしまった。
結局「悩んだ時はオリジナルを尊重する」の原則に従ってプロローグのままにしたが・・・。




海の見える丘 in 杉田

2017年04月28日 07:00



あいつのブログに『行きはよいよい帰りはいたい』という記事がある。

高低差が激しいマンションの周りを「ちょっと散歩しようぜ。」
結構急な階段をどんどん上へと上っていくと、20分位で「海が見えた」

『近くに横たわる街並みはミニチュアサイズ。』
『まさしく絶景でした。』
『気分はもう最高潮。』
『本当にずっとその場所に居たいとさえ思いました。』

ところがあいつは自他共に認める方向音痴で『迷子のスペシャリスト。』
階段を上ってきたから、下れば帰れると降りていったら・・・・・迷子になった

ようやく国道へ出たら、マンションから5キロも離れた所だった。
高低差の激しい場所をスリッパで1時間歩いて疲労困憊、結局タクシーを呼んでやっと帰れたというお話。




マンションに来るのもこれが最後だろうから、この「海が見える丘」に行ってみたいと思った。
とはいえもう70になろうかという身体で、どこにあるか判らない場所を求めて、高低差の激しい地形を歩き回るのは無理だ。


同じ場所に立つのは無理でも、同じ海が見える所に行って見たい。



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最初に目っ子を付けたのはマンションの北側にある小高い丘。
あの頂上なら海が見えるのではないか。

スマホ片手に「散歩」に出た。


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途中で「杉田湯」という銭湯を発見して寄り道。


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昼前なので閉まっているが、営業している雰囲気だ。
住宅街の真ん中だが、ワンルームで普段はシャワーという層が顧客なのだろうか。


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地図で見た熊野神社に到着。


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明治の廃仏毀釈で廃寺となって神社だけ残っている。
往時は関東の熊野権現信仰の中枢だったらしい。


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残念ながら海は見えなかった。

境内を清掃している人に聞いたが、さらにこの上へ行く道はない。
一旦京急の側に降りて、ぐるりと回ると磯子区の最高地点海抜69.1mの所へ行けるらしい。
けれどそこまで行くには結構距離があるし、グーグルストリートで見ると道路の両側は家が建て込んでいて見晴らしがききそうにない。




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次に目っ子を付けたのは、マンションの海側に見えるこの丘。
杉田八幡宮の裏山らしい。
視線の邪魔になる根岸線の高架はこの丘の下のトンネルを走っている。
ここかと思ったのだが、グーグルマップで確認してみると海側には木が生い茂っていて見晴らしが悪そうだった。
行ってみない事には判らないが。



荷物を取りにきたクロネコの運ちゃんに、海が見える場所はないかと聞いてみた。

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マンションの前の道を駅と反対の方向に少し上がると郵便局があって、その手前を左へ入る。
こんな近い場所から海が見えるの?


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二叉を右へ曲がる。
左へ曲がるとサウステラス横浜杉田という南隣のマンションに行く。


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その先で絶句。
心臓破りの坂!! 
車が通れないので坂になっているが、階段にすべき傾斜である。
転がったら下まで落ちてしまうので数ヵ所「踊り場」を設けてある。


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その後も坂道が続く。


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ようやく目印だと聞いていた自販機の有る家に到着したが、海は見えない。


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右側の駐車場に入って崖の際まで行き、目一杯ズームすると・・・・見えた。

標高よりも見晴らしがきく崖の上に立てるかどうかがポイントだった。



杉田八幡宮もこの辺りでは有名な神社で行ってみたいが、「心臓破りの坂」で体力を使い果たした。
満足のいく出来ではなかったが、杉田に別れを告げることにした。






「あいつ」のマンションを売る

2017年04月20日 06:57



あいつが住んでいた杉田のマンションは空き家のままにして来た。
突然、知らない不動産屋から手紙が来てマンションを買いたいという人がいるという。

売ったら、後であのマンションに行きたくなった時に、金に困っている訳でもないのに何故売ったのだと後悔する。
売らなかったら、もっと年取って行けなくなった時に、何故あの時に処分してしまわなかったのかと後悔する。

売っても、売らなくても、どちらにしても後悔する
だからそのままにしてきたのに。
かといって今更手紙を見なかった事にはできない。

余計なことをしてくれる不動産屋だと、迷惑に思いながら話しをすすめざるを得なかった。



買い取りは仲介価格から2~3割安くなる。
その代わり仲介手数料や残した荷物の処分は必要ない。
相見積もりもとってみたが、他の業者は仲介の査定価格は高いものの、
買い取り価格は3割引きよりもっと低い価格しか出してこない。
買い取りする気はなさそうだった。
仲介で高い査定を出していてもその価格で売れるという保証はない。
医者にかかるのと同じでリスクはすべて当事者が負う。


色々あって、当初の話しとは違って最初の不動産屋が買い取る事になった。
10年前に買った価格より200万安い値段で仲介売りした時の手取り額で契約した。
東京圏、駅から3分、買い物の便が良い、おまけに窓からの眺望が良いという条件を考えれば安いけれど、
20年もののマンションにすれば、妥当な範囲の下限には入っていると思った。
長引くと、価格云々以前に手離す事自体迷ってしまいかねない。
不動産屋も、100万の手数料を稼ぐより、リノベーション後の転売でその何倍も儲かると踏んだのだろう。



あいつが自分で見つけて来て、ここしかないと気に入っていたマンション。
病状が進行して引きはらう時には、「これで最後か」と呟きながら室内を撮っていたマンション。
部屋をリノベーションされてしまえば、あいつが生きていたという証拠がこの世からまた1つ消えてしまう。
この先、あいつの為に何がしてやれるだろうか。

杉田という街で暮らして (2)

2017年02月13日 16:46



あいつが杉田のマンションを後にしてから丁度3年が過ぎた。


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2014年2月8日。
あの日は寒かった。
その上東京周辺が20年ぶりの「豪」雪で交通は陸も空も大混雑した。
我々の乗った便が羽田「脱出」の最終便となり、以降は全便欠航になった。

それから半年も経たないうちに死んでしまうとは・・・・・。


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あの日の南太田駅。
黄金町の病院から杉田へ帰る時、この駅で何本も列車が通過するのを待った。


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カミさんが片付けてしまったが、玄関の靴箱の上には飲み干したオールドの瓶が並べられていた。


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2月8日に「大阪に帰る」と最後の予定が書き残されている。
カレンダーはあの日のまま。
住人の帰りをいつまでも待っているかのようだ。



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一人暮らしを楽しんでいた頃は、会社から杉田に帰ってくると、


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このショッピングセンターで晩飯を買い整えていた。


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シーズンになるとサンタが宙を舞う。


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週に2日一人で酔っ払うまで飲むというスタイルだったが、時には商店街の居酒屋へも足をのばした事だろう。


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マンションの前の道は緩い上り坂が続いている。
日当たりの良い斜面にはテッペンまで住宅が建ち並んでいる。


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「プロムナード」ならぬ「ぷらむろーど」は踏切を越えてここまで続いているが、
流石に賑わいは息切れして住宅街に変わっていく。

この辺りの住宅は我々団塊の世代より一回り上の人達が建てたようで、代替わりしつつある。


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マンションのすぐ近くにある、廃業した理髪店が周辺の世代交代を物語っている。


(3年前の「杉田という町で暮らして」 の続編というより姉妹編になってしまいました。)






「あいつ」からのダメだし

2017年02月02日 14:24



あいつの小説を本にしようと計画している。
学生時代に下宿していた先のお嬢さんのツテを頼っている。
打ち合わせを兼ねて4日に、下宿で相棒だった名大名誉教授と3人で
京都で昼食しようというお誘いがあった。
彼には、あいつのアカデミックポジションへの就職を依頼した事もある。
あいつは親の世話になるのは嫌だからと断った。
私には黙っていてくれと頼んだ事は後で知った。


約束した後で腰痛が出てきた。
今度のは冷やしても、温めてもダメ。
少し動けるようになって、可動範囲をひろげようと軽く動かすと痛みが更に増してくる。
ドタキャンで迷惑かけてはいけないので、早い目にキャンセルの連絡をした。


ところがその後ロキソニンを飲んで寝ると楽になってきた。
これならと思い始めていると、寺から電話があった。
都合で午前11時の予定を午後1時からにしてほしいという事だった。

ガーン!
4日は月命日のお参りがある日だった。
隔月なのでウッカリしていた。
元の時間なら何とかなったかも知れないが、これで完全にアウト。


腰痛は「俺のお参りの日を忘れるな」というあいつからのメッセージだったのか。
先ほどの電話は・・・ダメだし!
「ダメじゃん、おやじ」






英雄症候群

2016年11月21日 06:00



NHKの「漱石の妻」の録画を全話通して見た後で、正月に放送していたTBSのドラマ「坊ちゃん」を見直した。

見ながら、ふと「あいつ」の事を思い浮かべていたら、
突然スウッと腑に落ちて、胸のつかえがおりたような気がした。

そうか、あいつは「坊ちゃん」だったんだ。




次男が母親についていた大嘘がバレた時も「俺は常に弟の味方」と庇った。
カミさんは黙っている女では無いから、あいつはカミさんから2時間程こっぴどくやられていた。

あいつのブログのカテゴリーでは「仕事」が最も記事数が多い。
その中にも 仕事仲間を守ろうとする様子が見て取れる。



「坊ちゃん」は自分の損得を考えずに行動する。
私はあいつの行動を勝手に「坊ちゃん的正義感」と名付けていたが、心理学的には英雄症候群というらしい。

会社内で自分の主張や、やり方を通しながらも上からも下からも憎まれず、
むしろ信頼感を持って見られていたのは、そのお陰かもしれない。




ロストチルドレン~Slaves of the Nightmare~  by飛乃剣弥

2016年08月22日 07:08



飛乃剣弥作品のご紹介です。
原稿用紙115枚の中編です。

この作品も、未完の魂、死の予定表同様、ライトノベル作法研究所に「高得点小説」として掲載されています。

「作者自身の小説紹介文」

○食って、寝て、女抱いて、薬をキメる。最高の人生だね。反吐が出るほどな。
○近未来SFを舞台としたかなりダークなお話です。ラストはバッドエンドっぽい……。まぁ個人的にはこういう終わり方も、有りかとは思ったりしますが。



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「どんなお話し?」

近未来のお話。
戦闘シーンの映像から始まる。姿は子供だが超能力を持った兵士、ロストチルドレン対政府軍の戦闘だった。
『ショットガンを携えた数名の兵士が、小柄で華奢な少女に向かって怒声を浴びせながら、戸惑うことなく引き金を引いた。
 全身にくまなく穴を開けられ、無数の小さな傷口から血を噴水のように吹き出して絶命したのは、兵士達の方だった。』

ユティスの父ジュレオンは、自らが創りだした人工生命体であるバイオドールを、ロストチルドレンに変える技術を研究している。
彼はバイオドールの発明を「悪魔の行為」として政府の研究機関から追われ、今は反政府テロ組織の為に働いている。
バイオドールはロストチルドレンに変わる時、記憶や感情といった人間性を失う。失う人間性が大きい程高い能力を得る。
優秀なロストチルドレンを創る研究は完成まで今一歩の状態だった。

両親は研究開発に忙しく、多感な時期にユティスと触れ合う時間が取れなかった。
13才の頃には母親を「アミーナ」と名前で呼ぶようになっていた。
アミーナは、それまでユティスに対しては放任主義だった夫が、最近ユティスと接触し始めているのに気がついた。
ユティスは荒れていた。麻薬を打ってもすぐに多幸感から引き戻される。変調は肉体にも及び始めていた・・・・・。

作者お得意の伏線とその回収、ラストのどんでん返しが楽しめます。



「感想」

冒頭のシーンからバイオレンス、バイオロボットものかと思ったが違った。
両親と子供の葛藤がテーマになっている

少年期に、忙しい両親から、かまってもらえなかった子供の気持ち。
心外に思った親の態度への反抗。
自分は本当の子供では無いのだと思う妄想。
これらをベースとして反抗期の子供の気持ち、つまり自分自身の心の葛藤の過程を描いている。
それは普遍的というか、多くの人が少年期に経験してきた事だった。

ロストチルドレンというタイトルには、作品に登場するバイオロポットを表すと同時に、
失われた親子のコミュニケーションという意味も含まれているのではないだろうか。



冒頭のロストチルドレン技術を説明するシーンが伏線となって、ラストに活かされている。

ラストで幼年期に戻るユスティスの一人称が、だんだんとひらなかに変わっていく。
これも精神だけが、楽しい記憶のある幼年期へと戻っていくのを描写したかったのではないか。




「続編」があります

3年後に続編を書いています。
これは原稿用紙115枚の中編ですが、続編は549枚の長編です。
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ただ
○朝起きると父親は首だけになっていた。母親は腹の中の物全部ブチ撒けていた。俺が5歳の時だった。しょうがないさ。死んでしまったものは。世の中の殆どの事は、自分の力だけじゃどうにもならない。望んでも叶えられない。なら最初から諦めて、大きな流れに身を任せているのが一番楽だ。面倒な事をしなくて済む。考えずに、ただ言われた事に従っていればいい。上の奴等が裏で何を企んでいようと、俺には関係のないこと事だ……。

○もう二度と書かないと思っていた鬱ワールド。ようこそ狂ったサイバーパンクの世界へ。今回は政府組織の方に焦点を当てて書いてみました。ロスト・チルドレンに対抗するための特殊組織『オッドカード』のメンバーが主人公。前作と繋がっていますが、前作を読んでなくとも分かる構成にはなっているはずです、多分……(汗)。甘い恋愛、萌え要素、努力、友情、勝利などを期待される方はご遠慮下さい。そういった物は皆無です。

相当ダークな・・・・・、と思っているのは作者だけかもしれない・・・