■プロフィール

Author:fugaku2
TOPHATのヘーべルハウス
課題は2階オーディオルーム
since 2006.9.4

My Home Page
ユニバーサル真空管アンプ 「富嶽」とその仲間達のページ
since 1999.12.01

■カテゴリー
■FC2カウンター
■リンク
■最近のコメント
■月別アーカイブ
■最近の記事
■最近のトラックバック
■ブロとも申請フォーム
■ブログ内検索

■Powered By FC2ブログ
「原料炭」夕張炭の真価
「宮脇俊三を偲んで」シリーズで大夕張炭鉱跡を巡ったので、石炭について大雑派な話を書いてみる。


石炭には「原料炭」と「一般炭」がある。「原料炭の価格が、3倍になった」という報道で、多少はお馴染みになった呼称かもしれない。
原料炭と言われても、何の原料になるのか判らない。この種の石炭を「蒸し焼き」にしてコークスを作り、鉄鉱石から鉄を作るときの「原料」になるからこう呼んでいる。一般炭はそれ以外の石炭ということで、なおさら判りにくい。

こういう言い方をするのは日本だけである。
原料炭はcoking coal  一般炭はsteam coal と呼ばれる。
coking coal はコークスになる石炭、steam coal は蒸気機関の燃料になる石炭という意味で、石炭が工業的に使い出された時からのネーミングである。
こちらのほうが直裁的で判りやすいと思う。
「コークス用炭」「蒸気用炭」では、有難味がないから日本だけ固有の名前にしたのだろうか。地震のP波とS波と同様、直訳の方が理解しやすい。とかく日本では、判りやすいネーミングにしては、学者や役人の「沽券」にかかわるのである。



原料炭の一番大切な性質は、酸素が入らないようにした状態で高温に加熱してコークスにする時、石炭粒子がお互いにくっいて塊になる事である。熔けると言っても過言ではない。一般炭にはこのように性質はない。これは、コークス製造時にも、製鉄時にも非常に重要な性質である。


サンドイッチを思い浮かべていただきたい。「食パン」が加熱板で「具」が石炭である。「具」の部分の大きさは高さ約5〜10メートル、奥行き約10〜15メートルだが、厚さは0.4〜0.6メートル程度にすぎない。厚さを大きくすると熱が伝わりにくく、均一に高温に出来ないからだ。「食パン」は耐火煉瓦を積んで作られ、中は空洞でガスが熱源になっている。

石炭は上から投入され、蓋を閉めて空気の流入を防ぎ、900〜1200℃に加熱される。実際のコークス炉は熱効率の点から「サンドイッチ」は1セットではなく、20にも30も「食パン」と「具」が交互に連なっている。

加熱していくと熱分解が始まり、ガスやコールタールの蒸気が出てくる。このガスを燃やして熱源にするが、余るのでガスとして売る。これが都市ガス事業の始まりであった。

石炭粒子は膨張して、お互いにくっ付き、壁の間で「羊羹」が出来上がっていく。この膨張圧が大きすぎると、壁を破壊してしまう。弱すぎると塊にならない。
24時間前後加熱したすとガスが出終わり、コークスが出来る。
塊は収縮していて煉瓦の壁から離れる。
プッシャーと呼ばれる巨大なトコロテン押し出し器で、コークスの塊を水平に押し出す。
この時もし塊具合が悪いと、砂を押すのと同じで圧力が両側の壁に掛かって炉が破壊される。また収縮率が低いと炉の壁に引っかかって押し出せなくなる。
プッシャーの反対側は貨車が来て、塊が崩れながら、落ちてくるのを受け、水を掛けて急冷する。塊が崩れなければ納まり切れず、押し出しが出来なくなる。

固まりかたは強過ぎても、弱過ぎてもいけない。コークス製造プロセスは原料炭の性質によって成り立っている。一種類の石炭ではうまく行かないから、数〜十種類の石炭を混ぜる(配合と呼ばれる。ノウハウである)。



何故、こんな手間を掛けてコークスを作るのか。
刀等の武具や道具を手作業で作っていた頃は、木炭を使っていた。
高炉でコークスは、熱源、空気の通り道、溶けた鉄の流れ道、還元(酸化物である鉄鉱石から、酸素を奪い二酸化炭素となる)のための炭素源という4つの役目を果たす。自ら燃えつつも、崩れて隙間を埋めてしまってはいけない。
木炭では強度が保たないし、火力がコークスに比べて弱いため、体積的に多く入れねばならない。コークスは偶然、土の中で石炭が燃えて「炭」になっているのが発見された。使ってみると具合がよく、鉄の生産性が飛躍的に高まり、「原料炭」の採掘が世界的規模で始まった。




さて、夕張炭(北炭夕張新炭、大夕張炭、南大夕張炭も含めて)の原料炭としての「性能」で、世界に類を見ない面を持っていた。

石炭は炭化度によってランク付けされている。褐炭→瀝青炭→無煙炭とラング上がる程炭化度が高く、炭素の含有率が高い。原料炭は炭化度が高くても低くてもだめで、瀝青炭程度の石炭が良い。原料炭には粘結性というランクが適用される。微粘結炭→弱粘結炭→強粘結炭とランクが上がる程固化性が良い。

夕張炭は弱粘結炭である。単独でコークスにしてもあまり良いコークスにはならない。しかし、他の石炭と「配合」した時に、高密度で大きな塊(体積当たりの火力が強い)に特色がある。また、強粘結炭の中には膨張圧が強すぎて、単独では炉を壊してしまう石炭もある。こんな石炭も夕張炭を混ぜると品質の良いコークスになる。
流動性という指標がある。コークスになっていく過程での粘度を測定するのだが、夕張炭はコークスになる直前まで高い流動性を保っている。だから粒子の隙間を埋めて、粒子の接触面積を大きくする性質が高い。平たく言うと、他の石炭と「良く馴染み」、「糊」としての性能が非常に高い。名脇役なのである。

デジカメ散歩 | 09:09:22 | Trackback(0) | Comments(2)

FC2Ad

FC2ブログ 紹介予定派遣