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宮脇俊三を偲んで。北海道廃線跡の旅 その4 中湧別
中湧別へは、40年前に、この地で酪農をやっている友人に20年振りに会う為に来たのが最初である。札幌から網走行き特急で遠軽に着いたときは、陽はすでにトップリと暮れ、吹雪になっていた。友人が出迎えに来てくれているはずだが、20年の間にお互い変貌している。見つけられるかどうか不安な思いで一杯いだった。
10年前にも再訪し、今度で三度目である。今回は、残念ながら件の友人は生憎都合が悪く、私だけが「一方的」に来た。


宮脇さんは、「車窓はテレビより面白い」で「湧網線よ、さようなら」を書いている

「どの線がいちばん好きか」と問われることが多い。
 これ、なかなかの難問である。四季折々、そのときの当方の気分によって印象は左右されるのであって、そこに旅のおもしろさや深さがあるのではないかと思っている。
 とはいえ、魅力の度合いはあり、北海道の湧網線などは一位ではないまでも、トップクラスだろう。」

この時は、廃線間際にTV局の取材に応じて乗車したものの、多くの鉄道ファンで満員になった。
「湧網線なんて早く廃止になってくれ」と高校生が叫ぶというオチがつく。彼らにとっては、ガラ空きの車両に悠々と座れるなら、鉄道でもバスでもとっでちでも良かったのである。


その湧別線の終着駅中湧別からは名寄線の枝線で湧別線(中湧別−四号線−湧別)があった。

処女作「時刻表2万キロ」では、湧別から中湧別に向かう際に
 「駅しかないような淋しい中湧別で泊まるよりは、この地方の中心都市紋別に泊まって(略)」
 「駅の外れに工場の社宅があり、その前で幼い子供が、列車に向かって一生懸命手を振っている(中略)豆粒のようになっても、毛みたいな突起物がちかちか動いているので私は手を休めることができない」

第二作「最長片道切符ま旅」では、
 日曜日なので通勤通学の客はなく、一両のディーゼルに乗っているのは私を含めたおとに三人、それに小学一年と三年ぐらいの姉妹だけであった。

いずれも、何もないローカル線の終着駅の街の雰囲気である。
実際、20年前に行ったときは、一面の雪野原の中、四号線にある彼の農場の向こうを、ディーゼルガーが一両だけで走って行った。チンチン電車以外の鉄道で一両編成というのを初めて見て、北海道では鉄道に乗る人が少ないのだなあと思ったりした。
 この列車を湧網線だとばかり思っていたが、湧網線は1987年廃線だから、1989年廃線の名寄本線だった可能性もある。

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湧別から上湧別へのメインストリートだが、ごらん通りである。この通りの一筋東に湧別線が走り、中湧別からは名寄線となって遠軽に続いていた。

ところが、中湧別へ行って驚いた。
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温泉付き道の駅、文化センター、鉄道記念館と、かっての中湧別で考えられない施設が「駅前」で覇を競っているのだ。

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鉄道記念館には、かっての中湧別の駅が再現されている。駅標には名寄線の隣接駅名が出ている。

さらに、この通りを北へ進むと、上湧別には
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ふふるさと館JRYがある。屯田兵時代の家屋を「館内に」展示してあるという。こんな立派な建物の中に「保存」しなければならないほど貴重な遺構だとは思えないのだが。
「ハコモノ」を作ると多額の補助金が出る。しかしそれに喜んでいると、補助金は土建屋がかっさらって行って、完成後の維持管理が自治体の負担になる。その典型的なケースが夕張市である。ここが第二の夕張にならないことを願う。


この辺りに来ると、車が混んできて様に走れない。車が皆、一本しかないメインストリートに集まってくるようだ。女満別からの便の出発時刻は16:30、あと2時間30分しかない。レンタカーを返却する時間をいれると2時間弱。遠軽を経由して帰る予定であった。「瞰望岩(かんぼういわ)」に昇ってみたかった。


宮脇さんが「旅の終わりは個室寝台車」で、
 「遠軽とは楽しい駅名だが、アイヌ語のインガルシペ(見張りをする所)で、駅の構内を見下ろすように屹立する「瞰望岩」が地名の起こりである。高さ81メートルもある釣鐘型巨石で、この上に立つとオオホーツク海が見渡せるのだそうだ。4、50分もあれば往復できそうなので、時間があれば登ってみたいのだが、遠軽で乗りかえるときは、いつも妙に接続がよくて、その機会がない。きょうならば藍君のリクリエーションにもなることだし、一石二鳥なのだが、今回も接続がよすぎて瞰望岩に登れない。」と書いていた。


登れなくてもチラリと見るだけでもと思ったが、車でデッドラインを決めて走るのは危険である。焦りが思わぬ事故に繋がる。宮脇さんも、とうとう登れなかったのでないかと思う。ここは「敬意」を表して、中湧別から直接女満別へ向かった。

徒然の旅 | 08:53:47 | Trackback(0) | Comments(0)

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