バッハの平均律あれこれ

2010年01月20日 17:18

グルダに惹かれている。音色やテンポを言う以前に、聴いていて気持ちが良いのだ。ポリーニのような研ぎ澄まされた美しさとは正反対で、柔らかく澄んでいて安らぎを覚える。ホルスト・シュタインとやったベートーヴェンのピアノ協奏曲全集は名盤の誉れが高いけれど、ユニークなピアノソナタ全集ももっと評価されて良いと思う。


もう新たに買うことはないと思っていたが、グルダの平均律クラヴィア曲集を買った。

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響きを抑えて、フォルテピアノを弾いているかのような音を出している。グルードもバッハでは似たような弾き方をするが、それより柔らかくて深い音色だ。躊躇うかのように静かに始まる曲集は、第5曲嬰ハ長調になって急にテンポも音量も上がる。第7曲からの短調との対比を見せるためだろうか。どんな強奏になっても柔らかさを失わないのがグルダらしい。やがて、あれこれ考えるのをやめて、紡ぎ出される音に身を任せるようになる。



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これまで標準にしていたリヒテル盤はどうだろう。
リヒテルはグルダと違って遠慮無くキーをたたく。しかしお城の広間での録音のようで、ピアノが遠くに置かれているような音がする。残響を多く取り入れた編集が激しさを和らげている。


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ホールトーンはLPの方が巧く出せるのではないかと思って、引っ張り出してきた。殆ど変わらない音で鳴るが、残響の量はCDの方が多いと感じる。アナログはカートリッジからスピーカーまで音を変化させる要因がデジタルより多いので、CDのマスタリングで本当に残響音を弄ったかどうかは確実ではない。


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チェンバロでやっているピノック盤を聴いてみる。相変わらず賑やかで気品に欠ける演奏だ。第5曲での音量の変化はない。現代の楽器でも音量の差を出すことは難しい。あれは、グルダやリヒテルの「演出」だったのだろうか。

チェンバロでは、ヴァルヒャのLPがあつたと思って探したが見つからない。処分してしまったようだ。


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キース・ジャレットも聴いてみる。ジャズ・ピアニストとしては異例に美しい音を出すので好きなプレイヤーだ。グルダやリヒテルとは明らかに違う。一言でいえば窮屈さの無い演奏だろうか。ジャレット盤も第5曲での音量の変化はなかった。


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