「拮抗」 ディック・フランシス

2010年02月15日 17:00

先月発売された競馬シリーズの最新作を、早々に借りられた。
図書館のサイトに何度もアクセスして、メニューに登録されると直ぐに予約した。

プロ、アマ騎手、調教手はいうに及ばす、私立探偵から、今回のブックメーカーまで、競馬界に関係するあらゆる職業の主人公を次々に登場させてきた。最初に読んだのは血統あたりだっただろうか。学生時代に読み始めたシリーズがこんなに永く続くとは思わなかった。
良き協力者だった妻を亡くし、一時休筆していたが、ここ2,3作は次男フェリクスとの共著という形で書かれている。年一作でやっていれらるという事が、永続きしてきた秘訣なのだろう。そういえば、007のイアン・フレミングも年1作のペースで、半年はバハマの別荘で遊び暮らすという優雅な生活だった。日本では考えられない事だが、海外の作家ではよくある執筆ペースだ。

親子合作になってから、作風に変化が出てきた。これまでは、主人公は途中で暴力によって肉体的にハンデキャップを負い、そのハンデをカバーして犯人を追い詰めて大団円を迎えるというパターンが多かった。主人公のハンデは、英国冒険小説の伝統である。暴力シーンで読者の緊張が高まり、主人公への感情移入が高まるという効果もある。
その暴力の範囲がだんだん狭められて来ている。テロが横行している、お国の事情を反映しているのだろうか。読者は「安心」して読み進められる。波乱の波が低くなった分、ストーリー展開は複雑になってきた。破綻なくエンドを迎えさせるには、緻密なブレインワークを要する。若い共同執筆者の分担割合が、これからも大きくなってくるのだろう。

と書いたところで、ディック・フランシスの死を知った。
永きにわたって続いてきたシリーズも遂に終焉の時を迎えた。


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