HMV夏のポイント10倍セール第1陣~「クラシックは死なない」シリーズ

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    かずさん
    HMVのポイントシステムが変わって(というより改悪)以来、ゲリラ的に行われる10倍とか15倍セールでしかポイントが貯まらなくなった。暑くなって来て音楽を聴く気が失せる。そろそろやるだろうと思って、「クラシックは死なない」シリーズを読み返して選別したタイトルや、その他興味のある諸々を「お気に入り」に入れておいた。

    「10倍」
    予約だな
    いや、発売は過ぎている。
    来た来た!!

    「24時間以内出荷」は確かに早い。午後に注文しても翌日には配達されている。



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    [NAIVE V5132]
    「ドヴォルザーク:交響曲第9番『新世界よりクリヴィヌ&ラ・シャンブル・フィラルモニク 」

    第3作「やっぱりクラシックは死なない」:ゾクゾクと背筋が寒くなるような見せ場が何度も何度も何度も現れるのである。 しかも、細部のこだわりを見せながらも、スケールも相当でかい。

    「背筋ゾクゾク」は宮脇俊三の専売特許ではないらしい。
    古楽器アンサンブルによる「新世界」は初めてだが、違和感はない。小編成だから各パートの動きがクッキリしている。古楽器独特の倍音が乗っていない、乾燥した弦の音が激しく行き交う。それらが熱気となって汪溢し、大編成オケをも凌ぐ迫力で迫ってくる。

    挙げ句に偽り無し。


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    [REGIS RRC1270]
    「ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番、第3番 プラッツ(p)バティス&メキシコ・シティ・フィル 」

    第3作「やっぱりクラシックは死なない」:ドンガラ・ガッチャーン、またやってやがったバティス

    第1作「クラシックは死なない」で初めてこのノーテンキ系爆演指揮者を知った。メキシコだからでもあるまいが、オケの音が乾いているのがよけい爆演に感じる。いい加減飽きているのだが、懲りずにまた注文した。
    あれやこれやを引用しつつ長々と説明しているより、短くスパッと切っている場合の方が「当たり」の確率が高い。
    まさしく「またやりやがった」なのだが、これまでと違ってピアノが素晴らしい。ハチャメチャなオケにたった一人で果敢に立ち向かい、反対にねじ伏せてしまう。プラッツというピアニストは、1977年ロン・ティボーコンクールで優勝した実力者とある。今度はこのピアニストに興味が湧いてきた。

    大当たり



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    [HANSSLER 93245]
    「ラフマニノフ チェロ作品全集 ゲリンガス(Vc)、ファウンテン(p)」

    第3作「やっぱりクラシックは死なない」:ここまで美しいアルバムにはなかなか出会えない

    チェロ小曲集はタイトルを見て興味を惹かれるのだが、大抵一回聴いてお蔵入りになる。コンチェルトだと張り切ってキリリとした音を出す人でも、トローンとしたメリハリの無い音で睡眠薬代わりというのが多い。だからヨーヨーマなんて大嫌いである。

    さてゲリンガスは・・・・
    合格。
    珍しく繰り返し聴けるチェロ小曲集(チェロソナタという大物も入っているけれど)だった。



    rachmaninov-juroeskis.jpg
    [LPO自主製作 LPO-0004](SACD)
    「ラフマニノフ 交響詩『死の島』、交響的舞曲 ユロフスキ&ロンドン・フィル」

    第2作「それでもクラシックは死なない」:これじゃ売れないよ、とかなんとかブツブツ言いながら聴いた。・・・そしたらぶっとんだ。ものすごい演奏だった。まともに聴いたことさえなかったこの2曲が、こんなにすごい曲だったとは。いや、演奏がすごいんじゃなくて、実は曲がすごいのに、いままでまともに聴いていなかったから気づかなかっただけなんじゃないのか。そう思ってほかの人の演奏で聴いたら普通の曲だった。この指揮者がすごいのだ。


    「死の島」はベックリンの絵画を見て作曲したという。
    陰々滅々たる音楽が後から後から止めなく溢れ出してくる。
    「普通の人」の演奏で聴いてみる。
    スヴェトラーノフとライナーがあった。
    どちらも、これほどまでに陰鬱な表現にはなっていない。どちらも中間の盛り上がりを派手にやって雄渾ささえ感じさせている。

    普通の人が、何でもない時に聴く音楽ではない。
    トンデモナイCDだけれど、こんな事ができるユロフスキは只者ではない。



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    [EMI 3817982]
    「チャイコフスキー後期交響曲集 カラヤン&ベルリン・フィル」

    第1作「クラシックは死なない」:名演には「さあ、いっしょに感動しましょう」的な同調的名演と、相手の首根っこを捕まえて地べたにたたきつけて、「これでもか、これでもか」と揺さぶる脅迫的名演があるが、今回の演奏はまちがいなく後者。

    この71年の録音は「LPでリリースされた時はレコード・アカデミー賞を受けるなど絶賛された」が、その後、75,6年に再録音したし、84年のウィーンフィルとの録音もあって、廃盤になっていた。すさまじい名演がお蔵入りになっている事に心痛めた外資系ショップの担当者が(タワーの事か?)が3年間交渉して、遂にDISKYから再販された。
    84年盤を持っている事もあって本が出た時はパスしたが、本家EMIから「とんでもない名演だが、オリジナルテープに問題があった」4番も合わせたセットとして発売された。


    あのカラヤンが燃えている。耽美派カラヤンがスヴェトラーノフも顔負けにブラスを咆哮させている。もちろんベルリンフィルは余裕で付いて来る。音を割ったり外す事はあり得ない。むしろ楽しんでいるようだ。実演でもクールで絶対に燃えないカラヤンが何故にここまで。美空ひばりの「真っ赤な太陽」みたいに、「俺だって、やろうと思えばここまでやれるんだぞ」という事実を残しておきたかったのか。
    4、5,6番と一気に続けて聴いたが、終わるとまたかけたくなる。これは大当たり。


    (今回の10倍セールは8/4で終了した)

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