HMV夏のポイント10倍セール第3陣~「やっぱりクラシックは死なない」

2010年09月10日 16:16

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[ACCORD 4428198]
「ジョヴァンニ・ベルッチ リスト/ピアノ協奏曲第1番」
リスト:ピアノ協奏曲 第1番
リスト:死の舞踏
リスト編:イゾルデの愛の死
リスト編:エルザの大聖堂への入場
リスト:ハンガリー狂詩曲 第12番
リスト:ハンガリー狂詩曲 第2番

第3作「やっぱりクラシックは死なない」:14才まで全くピアノを弾けなかったのが、突然才能を自覚し、ベートーヴェンのピアノソナタ全曲を暗譜して独学で習得したという。その後ベルマンに師事して、天才的なテクニックを叩き込まれ、師匠譲りのリスト弾きになった。

こんなエピソードから「19世ピアニストの末裔」というタイトルをつけたものと思われる。
しかし師匠のベルマンのような「前世紀の怪物」といったイメージではない。またロシアのヴィルトゥオーゾ達に良く見られる、ある種の鈍重さもない。むしろタッチはシャープで、ロマンティックなテクニシャンといったところだと思う。
リストよりデビュー曲の「死の舞踊」の方が良い。こんなにゆったりとしたテンポで始まる「死と舞踊」は他にはない。この曲に付きものの不気味さやおどろおどろしさよりも、スケール感や爽快感が前面に出て来た演奏だ。



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[MELODIYA MELCD1001194]
「スルタノフ チャイコフスキー・コンクール・ライヴ」
・バッハ:平均律クラヴィーア曲集第1巻~前奏曲とフーガ第1番
・ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第23番『熱情』~アレグロ・アパッショナート
・チャイコフスキー:『四季』~10月『秋の歌』
・ショパン:エチュード op.10-12
・スクリャービン:エチュード op.8-12
・チャイコフスキー:ドゥムカ op.59
・ショパン:ピアノ・ソナタ第3番 op.58
・プロコフィエフ:ピアノ・ソナタ第7番 op.83

第3作「やっぱりクラシックは死なない」:どれもむちゃくちゃすごい。とくに爆演系ピースは、はっきりいって格闘技。ケンカである。スルタノフが少林寺拳法の黒帯だったことは有名だが、まさしくピアノとの生きるか死ぬかの決闘。あまりの激しさにピアノ線が切れたという逸話もこれを聴けば納得する。

例によって大袈裟な書きっぷりだが、この演奏に関しては的を射ている。異常にテンションが高いのは、通常のコンサートではなくて、コンクールの予選・本選の演奏だからだろう。チョットでも手を抜けば、次の出番はない。特に「熱情」やショパンの「革命」、ピアノソナタ第3番はピアノを叩き潰さんばかりの激しい打鍵で、こんな演奏は聴いたことがない。

協奏曲はどうかなと思ってチャイコフスキーとラフマニノフの2番を入れたCD[APEX 0927408352]も聴いてみたが、こちらはソロほどハイテンションでは無く、もっと余裕のある演奏だった。

もっと聴いてみたいが、残念ながらスルタノフは2006年に35才の若さで亡くなった。



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[Phil Harmonie PHIL06003]
「協奏曲集『四季』、他 ベルリン・バロック・ゾリステン 」
・オーボエとヴァイオリンのための協奏曲変ロ長調 RV548
・チェロ協奏曲ロ短調 RV424
・ヴィオラ・ダモーレのための協奏曲イ短調 RV397
・協奏曲集『四季』

第3作「やっぱりクラシックは死なない」:ベルリンフィルの首席奏者達で構成され(中略)・・・でも、そうした情報はCDを聴いた後で知った。そんな情報がなくても、聴けば、そのはちきれそうな生命力と情熱に心動かされる。世界最高の腕利きたちが、自分達の技量に酔いしれながら、縦横無尽に音楽を楽しんでいるのである。

同じヴィヴァルディの協奏曲ならと、新録音の「四季」が入っている方を買った。華やかで生き生きとした演奏で、録音が飛び切り良い。カラヤンの数々の名録音で知られるベルリンイエスボー教会で録ったという。さもありなん。

ベルリンフィルの他のメンバーが組んだアンサンブルベルリンというグループの「ムソルグスキー:展覧会の絵、ラヴェル:クープランの墓(室内アンサンブル版)」[PHIL06001]も良かった。展覧会の絵の室内楽版では、音楽三昧が有名だが、あれよりもう少し編成が大きく、室内楽編成を生かした各パートの見通しの良い演奏だ。

Phil Harmonie というのはベルリンフィルの新しくできた自主レーベルで、今後の展開が期待される。
 


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[ARTS ARCHIVES43082-2]
「ピアノ協奏曲第25番、他 チアーニ(p)バルビローリ&RAIナポリ・スカルラッティ響」

第3作「やっぱりクラシックは死なない」:・・・それなのに、第2楽章。いきなりとんでもないスローテンポで始まった。前代未聞。こんなに遅い第25番の第2楽章は聴いたことがなかった。(中略)なんとチアーニ、バルビローリよりさらに遅いテンポで弾きはじめた!このテンポひょっとしてチアーニの指定だったのか。 そしてそれを理解し、愛したバルビローリは、そのチアーニのテンポで音楽を創造していったのだ。

イタリアのモノラル録音という事で、音には期待していなかったが、チアーニのタッチがしっかり捉えられているし、バルビローリのオケも綺麗に聞こえてくる。4年後の録音の第20番よりいいくらいだ。歴史的な記録ではなくて、2人の「協走」をたっぷり楽しめる。


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[ARCHIPEL ARPCD232]
「シベリウス:ヴァイオリン協奏曲、他 タシュナー(vn)」

第3作「やっぱりクラシックは死なない」:楷書。どこまでも厳格で一本芯が通った律儀な演奏。必要以上に歌わないし、妙な節回しを見せたりすることもない。しかし最初聴き始めた瞬間から、その強い存在感に引き込まれそうになった。個性ではなくて、存在感。このごろのヴァイオリニストには超個性的な人が多くいるが、ゲルハルト・タシュナーは明らかに違う。

タシュナーは弟子入り希望者の筋肉を見て「ヴァイオリニストには向かない」と宣言したり、レスリングや腕相撲をしたという。優秀なヴァイオリニストは筋肉の反応をよくする事が大切だという持論だったらしい。それってピアニストでは、と思うけれど。
アーベントロートの推薦で、フルトヴェングラーのベルリンフィルでコンマスを務めた。端正なシベリウスも良いが、そのアーベントロートがオケを振っているブルッフが実に美しい。持論と音は別物である。


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[AUDITE AUD10016]
「シューマン ピアノ協奏曲 他、コルトー フリッチャイ/ベルリン放送交響楽団」

第3作「やっぱりクラシックは死なない」:最初の10秒でまず一回ひっくりかえる。・・・そのテンポはないだろう。そのあとフリッチャイも戦々恐々、40以上年が離れたじいさんのピアノにおっかなびっくりついていく。コルトー、とにかく何をしてくるかわからない。この年になってこんな芝居がかった怪談のような演奏をするとは。いや、コルトー、明らかにそれを楽しんでいる。もうキャリアーや批評など気にしなくてよくなった晩年に、子供のころに戻ったかのようにピアノと戯れている。

コルトーというと、あの東芝GR盤で、ノイズと一緒に音の輝きも失ったよれよれのSP録音しか浮かんでこない。これがコルトーの本当の姿なのか。とても同じピアニストとは思えない。ちょっと隣の鍵盤も一緒に弾いてしまうのを別とすれば、なんと若々しい演奏と響きだろう。技術陣も1951年の実況録音から最大限の音を取り出している。こんなコルトーなら、もっと色々と聴きたいものだ。



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