小松左京~巨星落つ~日本のバルザック

2011年07月29日 15:42

今月26日に小松左京が亡くなった。

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マスコミは小松左京=日本沈没のような報道しかしないが、彼の全盛期はSFマガジンに新趣向のSFを書きまくっていた昭和40年代ではなかったか。
当時のSFは頭でっかちというか、アイデアの追求に力を使い果たしてして小説としての面白味に欠けるきらいがあった。SFに興味が無くとも読んで面白い。それが小松左京だった。

高度成長の最中、女性らしさを失った人間でなく、「らしさ」をプログラムされたロボットと結婚する「機械花嫁」(飢えた宇宙)や、教育ママゴンから逃れて、「わびざび」の世界に成人用アンドロイドを侍らせる「宗国屋敷」(活きている穴)は、随分古い作品だが今読んでもニヤリとさせられる。


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闇の中の子供に収録された「第2日本国誕生」は、ねずみ取りにひっかかって免停と罰金を科せられそうになった時、別のパトカーが現れて「われわれの警官なら罰金千円ですむ」という。通帳に数万しか残高ないのに、税務署から数十万の督促状が来る。税務署へ行くと、「内緒の話ですが」と、こちらの税務署ならもっと税金が安くなると言う。
第2組合からヒントを得たのだろうか、国の中に別のシステムが出来ていってサービス競争をするというものだ。国も公務員も競争が無いから「やらずぼったくり」が成立している。競争原理が働いたなら、世の中はもっと住みやすくなる。こんな「小松ワールド」が本当に現実にならないかと夢想してしまう。
せめて民主党と橋下の存在しない世界だけでも、無いものか。


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普通は文庫本になってから買うけれど、小松左京だけはハードカバーが出ると直ぐに買った。
米朝さんをモデルにした桂文都師匠と梅見仁行った長浜の宿で白蛇の化身のような女と出合う「湖畔の女」、寝巻きを裏返しに着てマジナイを唱えると恋しい人のに夢で逢えるという言い伝えを実行していた女は・・・「待つ女」等々、「女」シリーズの時期にさしかかると、もうSFの範疇を越えるようになる。創られた虚構とも事実ともつかぬ世界を、次の展開が読めぬ侭に思うように引っ張り回されて、気がつくとお話が終わっていた。多産のストリーテラーという意味で、私は密かに日本のバルザックと呼んでいた。


「題名のない番組」通称ダイナシというラジオ番組があった。米朝さんとの対談だが、2人とも呆れるばかりの博識で丁々発止の遣り取りをする。あれは即席のやとりとりだったのか、それとも「小沢昭一的こころ」のように台本があったのか。録音が残っていればCDか再放送をしてほしいものである。



色々あったが、何より、明日に希望を持てた古き良き時代の産物だった。


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