84分の第9~ビレットのリスト編曲「合唱」

2011年10月03日 15:45

74分というCDの標準的な収録時間は、「第9を一枚に入れろ」というカラヤンの一言で決まったという。LPでは1枚半になり、途中で2回の中断を余儀なくされるのが、「座ったままで」聴き通せるというのは大きかった。

ピレットはどんな曲でも弾く人で、時折ミスタッチも見せるが、大らかで奇を衒わず、表情の濃い演奏をする。そのピレットの弾くリスト編曲ピアノソロ版の第9は、CD一枚の収録時間を大きくオーバーしてしまう。


同じ楽譜によるカツァリスのピアノソロと比較すると、18分もの差がある。

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カツァリスのは、「俺様のテクニッを聴け」と言わんばかりにたたみかけてくる演奏だ。
例えば第4楽章冒頭で、左手の和音はビレットは普通に弾いているが、カツァリスは分散和音で弾きばかりか重低音を新たに付け加え、劇的効果を出している。合唱には同じリストによるピアノデュオ版がある。手持ちのコンティグリア兄弟のLPを聴いてみると、分散和音はあるが重低音は無い。カツァリスの「サービス精神」とテクニックには恐れ入る。


何故こんなに遅いのか
かってグールドの「運命」が出たときに、そのテンポの遅さをテクニックのせいにする批評家もいた。
その後次々にグールドの演奏が世に出てくると、リストの編曲を譜面通りに演奏できないから云々は間違いで、彼はむしろテクニシャンで、遅いのは彼の演奏表現の結果である事が明らかになった。

ビレットの場合も、カップリングされている第6「田園」では、カツァリスと比べてこれ程大きな演奏時間の差はない。してみると、第9の超スローテンポはビレットの「主張」なのだろう。
オケでは極端にテンポを遅くすると音が合わなくなってしまうが、1人で弾くピアノならどんなテンポでも採れる。

後半の2楽章が特に遅い。しかし聴いていてダレてしまうような所は全くない。第3楽章を聴いていると、色んな演奏を聴いてきたはずなのに、「合唱」にこんな所があったのだろうかと不思議な気分になってくる。優しくゆったりとしており、いつまでもこの楽章が続けばよいのにと思いながら最後まで聴きいってしまう。



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