合格率23.5%の新司法試験~最高裁の陰謀

2011年09月09日 13:25

昨日午後4時に、過去最多の8765人が受験した新司法試験の合格者が発表された。

2011司法
各ロースクールの合格率を見てみると一橋、京大、東大が相変わらず強く、合格者数も前年から更に増えている。既修者コースの合格率はほぼ同じで、未修者コースの合格率で差が付いた。

関西では神戸大と阪大が明暗を分けた。
阪大は伝統的に東大・京大に追随しようとする傾向がある。ロースクールの教育方針も例外ではなく、如何にして合格者を増やすかではなくて、学説の比較検討を行う法学論を重視している。その結果、プラクティカルな司法試験対策を行ってきた神戸大に遂に逆転された。同様な教育方針の東大や京大が安定した結果を残せたのは、内部進学者のレベルが高かったに過ぎないのではないだろうか。
京大の昨年の未修者は、今年の阪大より更に低い20%を切る合格率であった。京大が適切な試験対策を行ったかというと甚だ疑問で、去年の落ち武者が頑張った為だと考えている。この見方が正しいかどうかは来年の結果を見れば判る。


2011司法-2
当初2人に1人が合格できた新司法試験だが、今や4人に1人さえ合格できない。その難関を突破しても、司法修習期間中に就職が決まらなかった人は、当初1割未満だったのが、昨年の合格者では4割以上に上っている。それでも受験者は年々増える一方だ。一旦司法試験に賭けた人生は、簡単には方向転換できない。

日本は弁護士の数は米国に比べて非常に少ないけれど、司法書士、行政書士、税理士、弁理士といった米国には無い資格があって弁護士の業務を実務でカバーしている。そこを米国並みに弁護士の数を増やそうとすれば、仕事の需給バランスが大きく崩れるのは自明の理である。




最高裁の陰謀その1

米国に強要されて弁護士の数を大幅に増やした新司法制度だが、それに対する裁判官や検事の数は増やしていない。就職難で崩れてきた新司法制度を支える気はさらさら無いようだ。法務省は「予備試験」という制度を作り、ロースクールに行かなくとも司法試験を受けられるようにした。旧司法への逆戻りではないか。

最高裁が「人を裁くシステムを維持するには一定以上の「レベル」の者を確保し続けなければならない。」と考えていても不思議ではない。日本は少子化が進んで、若年人口が減っている。一方一定以上のIQの持ち主(地頭と言い換えても良いが)が、正規分布に従って生まれるとしたら、絶対数は減っている筈だ。この状況で「レベル」を保ちたかったら、「枠」を増やすなんてとんでもない話で、減らしたいぐらいではないだろうか。

そう考えれば、ある程度以上の地頭のある人にとって、年々合格率が下がる新司法試験は、難しくなっていくのではなくて、相対的には易しくなっているのではないだろうか。



最高裁の陰謀その2

旧司時代には上位200人程度の「上澄み」を採用してきた裁判所であるが、新司になって安閑としていられなくなった。

新司法ではかっての一次に相当する「短答」と二次の論文を5月に一緒に行う。試験が終わってから9月の発表までに長い間が出来る。その間、「サマー・クラーク」とし称して、弁護士法人が手当付きの実習を一週間させている。上位のロースクール出身者や成績優秀者には、合格を前提として内定を与えている。
裁判官や検事の内定を出せるのは司法修習が終わってからだから、それ以前に「青刈り」をされてしまう。内定だから任官できれば断るのは可能だが、大手弁護士事務所の華やかな世界を見せられると、薄暗い庁舎には入りたくなくなるのは人情だろう。

これまでは司法修習の期間に給与が出ていたが、今年から貸与になる。貸与制に切り替えることを主張し続けてきたのは実は最高裁である。親の援助下にある法学部新卒生以外は、2~3年のロースクールの授業料と生活費を借金や奨学金で賄わねばならない。司法修習は11月から1翌年12月までなので、就職するまでに更に2年間辛抱しなければならない。その間に数百万の借金を抱えてしまう。
任官で貸与分の返済免除は、弁護士事務所の内定を蹴るモチベーションになる。
医者は数年間地方で医療活動をすれば奨学金の返済を免除される。防衛大学校の授業料免除も任官が条件である。違和感なく受け入れられシステムではないだろうか。既に、貸与制になって経済的に困窮する人に対しては、何らかの措置を講ずるというコメントが流れている。


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