松本清張「砂の器」~玉木宏版

2011年09月16日 15:56

震災の直後に放送予定だった、テレビ朝日の2夜連続スペシャルドラマ版が、先週末にやっと放送され、録ってあったのを昨夜観終えた。

玉木宏がえらい肥えている。ノダメの時は無理矢理減量していたのか?

民放のテレビドラマにしては時代考証に力が入っている。
刑事の移動は夜行の普通急行で、木の背もたれに青いモケットの客車が何度も登場する。
羽後亀田駅は、廃止になった片上鉄道の吉ヶ原駅が使われたが、肝心の亀嵩駅が判らなかった。
重箱の隅をつつけば、玉木の吉村刑事がサイドベンツのスーツを着ていたはずがない。サイドベンツの日本での普及は、007シリーズでジェームスボンドが着ていた事に始まる。時代設定の昭和35年ではまだ第一作ですら公開されていない。

ストーリーは原作にない女性新聞記者を登場させたり、和賀に協力する劇団員が殺されたりと、かなり膨らませている。「背景」に金をかけた分、一回だけでは元が取れず、2夜連続にするためだったのだろう。


それなりに楽しめたが、ストーリーを変えた為に致命的な欠陥が出来てしまった。
和賀は自分の過去を知られたく無かった為に、三木元巡査を殺すのだが、テレビドラマ版では父が殺人の疑いをかけられた為に、父と子で巡礼になって村を捨てたという設定になっている。
殺人の疑いはかけられたが、結局釈放されている。これは父と子が絶縁し、殺人を犯しても隠したい程の過去だろうか。
原作では、父はハンセン病にかかり村に居られ無くなったというという設定になっている。
村を出たのは戦前という設定であり、原作が発表されたのも昭和35年頃だから、ハンセン病の伝染力や遺伝性に誤解と偏見が残っていた。それ故に和賀は恩人を殺してまで隠したかった。

もっとも、今原作と同じ設定にしたら、差別を助長するとして非難の嵐が吹き荒れるだろう。
野村芳太郎監督の昭和49年版では、この巡礼の2人が迫害される様をこれでもか、これでもかと執拗に描いて、犯行動機を盛り上げていた。丹波哲郎の今西刑事も良かったが、何より加賀の子供時代、本浦秀夫役で出た子役の春田和秀が秀逸だった。






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