ヒッチコック「めまい」~原作を読む

2011年12月23日 11:26

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ボワロー&ナルスジャック。ずいぶんと懐かしい名だ。
「死者の中から」は1954年に発表、58年に早川ポケミス(No278)として日影丈吉訳で出た。
1958/10の日本での映画公開に会わせて出版されている。

キム・ノヴァクは大好きな女優の一人で、「めまい」ではミステリアスで妖艶なマドリン役を演じた。誠実な元刑事役のジェームス・スチャアートとは、同じ1958年に「めまい」「媚薬」と立て続けに共演している。
キム・ノヴァクがあまりに役柄にピッタリだったので、オリジナル脚本だと長い間思いこんでいて、原作のミステリを読み逃していた。


原作の舞台はパリで、時代は第二次大戦を挟んでる。
当然登場人物の名前も映画とは違っているが、ややこしいので映画の役名で統一する。

第1部 ナチスドイツがフランス国境を侵し始めた頃
学生時代の友人エルスターが、妻のキムノヴァク演ずるマデリン(原作はマデレーヌで、これのみ同名)の尾行調査を、ジェームスチュワート演ずるファーガソンに依頼する。妻に曾祖母の魂が乗りうつっているという。
マデリンがセーヌ河に飛び込み自殺を図り、ついに鐘楼から落ちて亡くなる。ファーガソンは高所恐怖症で塔の天辺まで追っていけなかった。

第2部 大戦後まもなく
退役したファーガソンは、エルスターがドイツ軍に銃撃されで死んだ事を知る。
その後マデリンの姿をニュース映画で偶然発見し、彼女を追う。
マルセイユでマデリンと再会したファーガソンは、彼女に以前着ていた衣装を着せ、同じヘアスタイルや化粧をさせる。それは彼が知るマデリンそのものだった。化粧室で発見した首飾りが決定的な証拠となった。真相(あえて説明しないが、お解りだろう)を知ったファーガソンはマデリンを絞め殺してしまう。


ヒッチコックがかなり手を入れているだろうと思っていたが、映画は原作に忠実というか、トリックを含めてほぼ完全にコピーしている。

原作と少し異なるのは、映画ではマデリンを同じ鐘楼から事故で墜落するという、ロマンチックな方法で始末している点。また原作ではニュース映画で発見したマデリンは「スクリンの若い女は三十がらみの年配で、かなり肥っているように見えた」と、必ずしも魅力的な女には描かれていない。

ファーガソンが元刑事で高所恐怖症という設定も同じだが、映画ではヒッチコックが新しいカメラワークで映像として、何度も観客に訴える。原作では最初と最後にしか出てこないので、インパクトは弱い。


ヒッチコック+キム・ノヴァクで、映画は原作に勝っていると思うが、監督もしくは主演女優が変わってたら、私の評価はイーブンあるいは逆転するかもしれない。ヒッチコック自身はヴェラ・マイルズを使いたかったようだが。


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