肺ガンより恐ろしい平滑筋肉腫という病気 その5

2012年12月14日 11:02

11/12 手術当日

本日2番目の手術なので、先に空いた手術室を使う。いつオンコールされるかもしれないので、10時半から待つように言われていた。
12時40分にコールが来た。手術室の入り口まで3人並んで歩く。

送り出した後は、病室のある階の控え室で待機する事になっている。
窓から先日泊まったホテルのある、ランドマークタワーの堂々とした姿がよく見える。
あれに比べたら「あべのハルカス」は高いだけのペンシルビルだ。

これからの待ち時間は、これまでの人生で最も辛い時間になる。
麻酔を開始してから手術開始まで30分くらいはかかるだろう。
片肺全摘出の大手術だから、時間がかかる筈だ。
しかし開いても、駄目な場合はぐっと短い。
「終わりましたよ」と呼ばれるのは、普通の手術の場合と反対に遅い事を望む。

1時間、2時間と過ぎる。朝から何も食っていないが腹は減らない。
ただカミさんと無言で向かい合って座っているだけ。
別件で看護師が入ってくる度にギョッとする。

事務の女の子がやって来て、午後5時を挟んで手術後に行く場所が違うと説明に来た。
午後5時を過ぎて行きたいのだよ。

もう一組待機組が入ってきたが、こちらは別の入院患者と呑気な話をしている。
大きな声でないのが有り難い。
あたり構わず大声で話する、関西のオバはん連だったらゾッとする。

備え付けのラックに入っていた週刊誌を開くが、タイトルを見てパラパラとめくるだけ。

午後3時。実時間で約2時間経過。最も際どい時間帯になってきた。
開けるだけで終わるのか、摘出までいけるのか。

午後4時過ぎ、カミさんがトイレに立った。
「手術が終わりました」と告げられたのは、その直ぐ後だった。

やはりダメだったか。
がっくりして、頭がテーブルについてしまう。

3階の術後説明室へ入る足に力が全然入らない。
カミさんは目を真っ赤にしている。
あの腫瘍と術後の痛みに耐えながら、後少しだけこの世に居るのか。
最初に電話があってから、まだ一カ月も経っていない。


白衣の人がやってくる。あの外科医だ。
ん、手に小さなバットを持っている。サンプル組織は取らないと言っていたが。
その人は被せられた紙を外しながら「取れましたよ」と言ってくれた。
夢じゃないだろうか。
私の人生には、これまでこんな逆転満塁ホームランは無かった。


それは両手の掌に収まるくらいの肉塊だった。
肺ってこんなに小さなものなのか。空気が抜けてしぼんでいるからか。
裏を返すと人差し指位の白い管が。気管だった。
下半分は正常だか、上は腫瘍が浸潤してきて詰まっている。
その脇に病理のサンプルを切り取った切り口が見える。
中には「いくら」より少し小さい白い卵が無数に見える。
何故かエイリアンの卵のように思えた。

これからどうなるか分からないが、とりあえず第一関門は突破できたようだ。


HCUで眠そうな息子と数分話してから、病院を後にした。
カミさんは、息子のマンションに泊まって明日以降もこちらにいる。

9時の関空行き最終便まで3時間程ある。
そうだ復元された東京駅へ行ってみよう。



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