加山雄三 スナイパー4部作

2015年02月06日 10:33

「ちい散歩」を引き継いで「若大将のゆうゆう散歩」が放送され、知名度が更に高くなっている。
昨年末には、BSで1960年代の若大将シリーズの全作品が放送された。
その若大将シリーズが学生ものから社会人ものになる頃、それまでとは全く別のシリーズが東宝で作られた。
「狙撃」「弾痕」「豹(ジャガー)は走った」「バラの標的」の4本だ。

1968年の「狙撃」だけは、映画館で見た。
「狙撃」も含めて、WOWOWで幾ら待っても放映されないのでDVDを買った。

「狙撃」
ビルの谷間から新幹線の乗客の頭を撃つというシーンから始まる。
相手役は日活の浅丘ルリ子で、乗る車は「007」でも使われたトヨタ2000GT。
寡黙でストイックな一匹狼の殺し屋という役を、笑わない加山がクールに演ずる。
そのキャラクターとは正反対に、南方の大きな蝶の映像が象徴的に使われ、スクリーン一杯に映し出される。

これでスタイリッシュな映画が出来無いはずがない。

ラストは森雅之が演ずる敵側の殺し屋との一騎打ち。
音速より早いモーゼル軍用拳銃に敵わないと見て、撃たれて倒れ、相手が油断して近寄ってきたところを
返り討ちにするという戦法。とどめを刺しにきたら、どうするのかと思うが、功を奏してジリジリと自分の車に
這い寄るというシーンで終わる。

DVDのクレジットで小沢昭一を見つけたので、どこで出てくるのかと待っていたが、登場せず。
麻薬密売業者として、後頭部と声だけの出演だった。


教養部の頃は、年間300本と平均すれば毎日映画館に通っているようなペースで見ていた。
実際は3本立てのハシゴだった。翌年から学部に上り、実験が忙しくなって映画館から足が遠のいたのだろう。
この映画のヒットによってシリーズ化された事は知らなかった。


「弾痕」
翌1969年の作品で、相手役は太地喜和子。共演は岡田英次、佐藤慶。
車は117クーペで2000GT程希少ではなかったが、トラックのいすずがイタリア人ジュウジアーロにデザインさせた
名車だった。

スナイパーだが、一匹狼ではなくてCIAの下部組織の一員という設定。
テロの阻止やら、外国組織との抗争、国際的陰謀とストーリーが複雑になる。
その上日本人だが米国国籍を持ち、二重国籍という自分の存在に悩む。

前作よりお話が膨らむ一方で、加山の役としての印象が薄くなっている。
欲張りすぎて、整理が付かなくなっている。

ラストでは組織を抜け出そうとして、蜂の巣のように射殺されてしまう。
ハードボイルドな印象を狙ったのかも知れないが、この最後もイマイチの感がある。

途中、SLが長い旅客列車を引いて直江津駅に到着するシーンがある。
既に東海道新幹線は開通していたが、まだまだ地方では普通に足として走っていた。


「豹(ジャガー)は走った」
1970年の作品で、役どころは殺し屋ではなくて警視庁警部。射撃の腕を買われて
日本経由でアメリカに亡命する独裁者を組織が雇った殺し屋から護るという任務を受ける。
その殺し屋に何と元大映の田宮二郎を引っ張ってきた。

靖国神社の境内で銃撃戦を撮るというシーンが興味深かった。
あんな場面は、後にも先にこの映画だけだろう。

厚木基地のゲートをゴールに、独裁者を無事届けるべく加山が一行の前になり後になって警護するが、
田宮の殺し屋は現れない。
田宮は、ゲート直前でVIP車の上にいるヘリを打ち落とそうとするが、加山の機転によって無事ゲートを通過する。

ラストは二重なっていて、この後田宮と加山が米軍の廃倉庫での一騎打ちになる。
何故か旧日本軍の戦闘機が、スクラップとなって置かれている。
シングルアクションのライフル対、肩当て付きのモーゼルという、長距離用の銃による屋内銃撃シーンは迫力があった。
しかし左胸と右太腿を撃たれて、あんなに動けるものかね。

加山が先に倒れ、田宮も・・・。相打ちがと思わせるが、
次のシーンでは左胸を貫通されたはずの加山が、右腕を釣ってタクシーの後部座席に治まっていた。おいおい。

相手役には、これも大物加賀まりこが出ているが、前2作程は絡んでこない。
車はワーゲン・ビートルと、後半はアルファロメオのオープンカーが使われていた。


「バラの標的」だけはまだDVD化されていない。この作品を最後にシリーズが打ち切られた事からして、
それ以前の3作品以上の期待はできないと思う。


「狙撃」以降の作品は、狙撃を超えられず、加山雄三の新しいキャラクターは、このシリーズで定着しなかった。
日本映画産業は1960年のピーク以来から、衰退の傾向を止められず、
加山雄三も1970年、母の実兄が経営していたホテルが倒産し、23億円もの借金を被った。
地方のキャバレーで稼いで10年で返済したそうだが、映画出演は激減した。


ビートルズ、加山雄三、007 は私の中学生時代、同時期に現れたヒーローだった。



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