旧谷汲駅から奥の細道むすびの地へ

2015年06月03日 09:09



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谷汲山の参拝を終え、山門を出て50メートルばかり行くと谷汲駅が現役時代と変わらぬ姿で現れた。

かって谷汲山へは、名鉄が岐阜市内から延びていたが、今は総て廃線となった。
その最終ランナーが黒野-谷汲間11.2キロを結ぶ谷汲線だった。
谷汲山参拝のための寺社線として開業したが、参拝客の足が車に変わり乗客が減少した。
2001年廃線となった後、名鉄バスが同じ経路で走っていたが、それも乗客数が少ないために2004年に廃路線となり、
その後は樽見鉄道谷汲口からここまで、コミュニティバスが出ている。


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無人となった「改札」を入ると、一段下がったホームに2両の電車が保存されている。


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中に入って待っていれば、今にも運転手がやって来て発車するのではないかと思う程、現役の状態を保って保存されている。

宮脇さんの処女作「時刻表2万キロ」に登場したのはこの車両ではないだろうか。

『二つ目の木知原を過ぎると根尾川の谷が狭くなる。突然、対岸の斜面の樹間から赤一両・緑一両の小ぢんまりした二両連結が現れ、
こっちと平行して走り出した。私は狐火でも見たようにはっとしたが、これは名古屋鉄道谷汲線に紛れもない。
暗緑色に翳った樹林に隠顕する二両の配色が絶妙で、名鉄というと赤いパノラマカーばかりを思い浮かべてしまうが、
こんな電車を山間に走らせていたのかと感心した。国鉄にばかり乗っている私でも乗りたくなるような電車であった。』

夕暮れ、辺りがモノトーンに沈みつつある時に、突然川の向こうに赤と緑の電車が現れる。
際立った色彩の対比の瞬間を捉えた見事な描写ではないか。


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もう一台は、より旧い型のようで丸窓がある。
丸窓というと上田電鉄別所線の別所温泉駅に保存されいる「丸窓電車」を思い浮かべるが、これは前面がカーブしてより手が込んでいる。



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『国鉄にばかり乗っている私でも乗りたくなるような電車であった』と書いた宮脇氏は、
その後「終着駅へ行ってきます」で谷汲駅を取り上げている。

『ホームに立って終着駅谷汲を眺める。電車の鼻先は行き止まりで、木造の大きな駅舎がある。
そして、ホームには鉄骨の丸屋根がかけられている。二〇〇人ぐらいは雨宿りのできそうな屋根で、谷汲線としては異色の立派な駅だ』
丸屋根は撤去されたのか?

『けれども、それほどの寺があるというのに、いまの電車から降りた客は、わずか数人にすぎない。』
車掌の話
『でも、きょうは多い方ですね』
『いまは名鉄の社員が乗る時期なんですよ』
月ごとに社員に配布される無料乗車券の消化に使われる路線だった。

廃線になる20年前からこんな状態では、無くなっても仕方ないのだろう。


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ホームを出て暫くはレールが残されているが、ガソリンスタンド付近で途切れている。
その先、根尾川まで行って川沿いにカーブし、黒野で揖斐線に合流していた。


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予定を終了したが、まだ陽は高い。
谷汲から真っ直ぐ南に向かうと大垣に至る。大垣から名神に乗る事にして、芭蕉が奥の細道のゴールとした「むすびの地」へ行ってみる事にした。
大垣は以前「JR完乗」の時に下車したが大垣城だけでタイムアップになっている。
わざわざ出かけていく程の事は無いが、帰りがけにいくなら手頃な所だ。

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芭蕉は大垣から船で揖斐川を下って桑名まで行き、故郷の伊賀上野に帰っている。
「水門川」は大垣城の外堀で揖斐川に通ずる運河でもあった。
ここ船町湊の「住吉灯台」は元禄年間に建てられ、明治時代に再建されている。


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水運は明治になっても盛況で、昭和26年まで蒸気船が運航していた。
こんな市街地の中を蒸気船が走っていたとは。
街中の川とは思えない清流で、大きな鯉が遊泳していた。
道路の反対側には2012年に建てられた「むすびの地記念館」があるが、広大な無料駐車場に一台も車が停まっていない。
面白くないのだろう。
パスして帰途につく。


走行距離380km

撮影[α7s+SEL24240]Capture one で補正


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