桑名正子著「女のアトリエ」~パリから見た日本とフランス

2015年07月24日 09:48



『桑名正子画伯は壬生川の人』の桑名さんが、エッセイを出していた。
新刊では無くて1994年の出版だが、Amazonで簡単に入手できた。

どんなエッセイか。
女史曰く。

パリは素晴らしい、汲めどもつきぬ深みのある素敵な所だ、あるいはフランス人はこういうふうに生活している、というようなエッセーは書きたくない。
パリに住む日本人は山ほどいるが、滞在が長いほど日本との縁が切れてしまい、フランス生活の感覚もマンネリ化して、
新鮮な切り口でフランスを見る事がむつかしくなってくる。
一方、自分は1年半毎に個展のため帰国して、3ヶ月近く日本に滞在する。
この繰り返しなので、問題意識も、フランス人を見る感覚も新鮮なままでいられる。

『18年余のパリ生活の中で出会った事、見た事、そしてその底に流れる本質的な意味でフランス人と日本人の違いはとはなんだろう。
これを日本人にとって最もピンとくる形で書いてみたい』




第2章「男と女の構図」の冒頭に置かれた「BBのその後」を例にとってみよう。
(「BB」というのはブリジット・バルドーというフランスの大女優の事。)
BBが50才を過ぎて初めてテレビ出演した時には、フランス中が大騒ぎした。
彼らは美醜・年齢と関係なく、BBを受け入れセックスシンボルとして憧れている。
BBやMM(マリリン・モンロー)はセックスシンボルだが、吉永小百合はそうではない。
ここから日仏の女性観の違いを切り出していく。

「日本は女性に対する文化的拘束が強く、枠にはまった女性像が確固としてある」
「彼等は女性を、熱い血が騒ぐこともある、性の異なる生き物としてとらえている」
ふむふむ、これは大議論になる。
「ほんでー」と次を読みたくなる。

文章は歯切れが良く、視点はシャープだ。
頭のいい人だなと思う。




本が出版されて19年経つ。その間に日本も変わった。
「32才でオバサン」や、結婚して子供を持てば「専業主婦」というような概念は崩れてきている。
このエッセイは『長年月かかって仕込んだタネを、じっくり寝かせ熟成させたエッセンス』であるが、
20年経ったので、次の仕込みと熟成ができて上がっているのではないか。第2作を期待したい。




閑話休題。
フランス人の女性観は本当に進歩的なのか?
『つれている女を見れば男の価値がわかる』
これは女は男の従属物という潜在意識なのではないか。
大昔に「進化」しただけに、中世的な保守性も多く残しているのではないか、と天邪鬼が首をもたげる。






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