投稿日:2008-05-09 Fri
先日、テレビで就職活動の特集番組を見た。面接をそつなくこなすと、次のステージでは課題を与えられて、グループ討議をやらされていた。
グループ討議というのは、多くの会社の社員研修でよく用いられる手法で、観察者が参加者の能力を複数の項目(リーダーシップ、判断力、決断力、問題分析力、感受性等々)で採点する。結果を本人にフィードバックして自己啓発の動機付けにしたり、人事評価の材料にする。
実は、私もこの観察採点者をやらされていたことがあった。
この他にもいろんな「演習」を2泊3缶詰にしてやってもらい、同様の項目で採点していく。各自担当の参加者の観察結果を報告する会議があり、全員で総合点の順位付けをする。そうやって複数の眼で採点するのである。この順位の順に昇進していく。そういう会社の人事システムであった。
ある時、この順位が出身大学の偏差値と完全に一致したことがあった(そういう傾向はいつもあったが)。T大をトップに下位にはK、K、D、R大が並ぶ。
「こんなやりかたで、本当に社員の能力を測れるのか」
結果を眺めて、評価者全員に脱力感が広がっていった。
準備なしに研修に参加するものはいない。事前に対策を練ってくる。
結局受験勉強と同じで、試験に強い=偏差値の高い大学出身者が高得点を出す。
就職試験とて同じ事。いかに就職試験対策をやっているかを採点しているだけだ。
能力評価になっていない。入社後どれだけ会社の戦力となるかを見定めるのが人事の役目なのに、これでは労働生産性はゼロ、給料泥棒だ。
では「高得点」をたたき出した研修参加者が、本当に会社の役に立つのか。
かってダイエーの故中内氏がインタビューでこう語っていた。
「最近の若い人は頭が良くて、失敗の原因分析は良くやってくれる。しかし、ではどうすれば良いのかと問うても、はかばかしい答えは返ってこない」
また面接試験でも、珍奇な質問をするのが流行っているらしい。
某ブログで「富士山を移動するには、どうしたらいいか」というのを見た。
受験者は本音では「アホとちゃうか」と思うことだろう。
私なら、「そうですね、方法は目的によって違うと思います。どんな目的で富士山を動かすのでしょうか」と答える。
面接官は単にマニュアルに沿って質問をし、反応を記録するだけだ。質問を決める権限は無い。勝手に「目的」を言ってしまえば、判定会で困るのは自分なのだ。
柔軟な思考を試そうと言う事だろうが、柔軟な思考のできる有能な面接官は少ない。
(本当に、こんなやりとりをして受験者が窮地に陥っても責任はとれませんよ。その場合、別の山と名前を交換するとか、行政区画を変更して富士山の属する「住所」の方を移動してしまう、てな答えは有りかと思いますが)
これだって、当意即妙に受け答えができるというだけで、実務能力とは別だと思う。うどん屋の釜(湯(言う)ばっかり)だ。
就職受験生にも問題がある。
今は、大学3年で就職活動をして、4年生の初めで内定をもらうというスケジュールですが、すると「何時」大学生として専門的な知識・能力を身につけるのでしょう。その上、これ程就職試験の準備に時間と精力を使って入った会社を、数年で辞めていくいく人がかなり居る。
その理由を「この会社では自己実現ができないから」と宣うらしい。
オヒオヒ、「会社は、あんたの為にある」んじゃなくて、「あんたが、会社のために有る」。それだから会社は給料を支払ってくれる。こんな簡単な道理が分からぬはずが無い。
少子化とは別問題だと思う。こちとらだって長男甚六だったが、「揺りかごから墓場まで」は元々福祉国家を表す文言だったが、その後に「競争」が付いた。
今の世代も「お受験」をくぐり抜け、競争社会を経てきているはずだ。
なのに世間の掟が理解できないは何故?
ここから先は私には分からない。
しかし会社は、いつまでも新卒を「使い捨て」にして良いのだろうか。
社内教育はするが、教育する側の社員は自分本来の仕事がある。自分がオーバーワークになっては堪らないので、結局新入社員が自分で自分のプログラムを作らなくてはならない。できないと社内で「路頭に迷」ってしまう。一旦会社を辞めてしまうと、なかなか正社員なれなず、いつまでたっても収入が増えない。国内の消費力低下は、会社の業績にブーメランのように跳ね返ってくる。
教育する社員は、負荷を減らしてもらえる制度、あるいは専門の社員(人事の通り一遍の教育でなく、戦力としての)が必要なのではないか。かっては、それがOJTとして回っていたが、今は労働生産性のノルマが厳しい上に、むやみに残業を付けられないので、そんな「余裕」はない。
安易な労働移民の受け入れは、一時的な対策にすぎない。統計上ドイツはあと百年たつと、「トルコ帝国」になると揶揄されている。
腐りきった永田町や霞ヶ関に、問題解決の意思も能力はない。
日本が自助努力で問題を解決するには、経営者が日本人として日本の事をもっと考える必要がある。
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