宮脇俊三 「汽車旅12月」

2009年08月03日 18:50

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宮脇さんの著作では「時刻表2万キロ」と「最長片道切符の旅」がスパ抜けて有名だけれども、これはそれに続く第3作として書かれた。各月毎に、旅行する際の向き不向きの要件を挙げた後で、宮脇さんの旅行例が述べられている。

シャーロックホームズの物語の中には、名前だけで詳細の描かれていない事件があり、LOST CASEと呼ばれている。「時刻表2万キロ」にも、何月何日にどこそこへ行ったという記載だけの旅行が数多く出てくる。取捨選択でこぼれ落ちたのだが、その内の幾つかが汽車旅12月に出てくる。


例えば「時刻表2万キロ」の第9章、1回目の九州行きで「この三原から彗星一号への乗り継ぎは2年前のおなじ4月にもやったことがあり、その時は延岡で下車して高千穂線、宮原線、高森線など、それぞれ個性のある線に乗った」とあり、高千穂橋梁の真ん中で停車されたことが述べられているが、その詳細が「4月/寝台列車と高千穂峡」に詳しく書かれている。

また「時刻表2万キロ」の第5章の冒頭の「3月には四国の内子線10.3キロと、予土線のうち昭和49年3月に開通した・・・」は、「3月/新幹線16号車16B席と祖谷渓」に、会社の同僚2人が同行を申し出てきたので、旅程を観光用に変更する過程から描かれている。
同じく第5章の終わりの「仙台行き」と「広島行き」の顛末は「5月/食堂車の怪と無人終着駅」にといった具合で、「2万キロ」では割愛された旅行記が復活してくる。

「2万キロ」は何度も読み返して、重箱の隅まで楽しんで来たが、その楽しみを増やしてくれる貴重な作品である。


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