第430回大フィル定演 「魔王」が凄かった

2009年07月28日 22:18

パガニーニ/ヴァイオリン協奏曲第1番
Vn)クリストフ・バラーティ
サンサーンス/交響曲第3番
Org)室住素子


演目がポピュラー曲なので、2階席後ろの立ち聴き席(腰掛けられるが)まで一杯。
恐らく切符はソールドアウトで、空いている席は切符は買ったが都合で来られなかった人のだろう。
何時も隣にいるホルスト・シュタイン風の紳士も、珍しく「欠席」していた。

パガニーニはつまらない曲だ。下手なオケでも初見で弾けるようになっている。それを大植は、身振り手振り足振って指揮台の上で踊る。こんな曲はライナーみたいに嫌々詰まらなそうに振ればいいのに。
細い身体にピチピチの衣装を見てると、なんとなくルパン3世を思い浮かべる。

男性のヴァイオリニストを見るのは久しぶりだ。日本にはいくらでも女流のヴァイオリニストが居るのに、なんでワザワザ外タレを呼ぶのか。ソリストの技巧をひけらかすだけの曲で、オケなしでやっても構わない位の曲で、もっと崩しても良いのに、なぜかスークみたいに端正に弾く。と不満タラタラであった。

ところが、アンコールを聴いてぶったまげた。
「しゅーべると、えるけー・・・」と聞こえた。まさかマオウ・・・・
が、本当に魔王を弾いた。ヴァイオリン一挺で。

この曲は伴奏にも特徴があって、不安を掻き立てるようなパッセージが常に流れている。メロディは当然ある。全く違う2つの楽想を一本の弓で弾くという、パガニーニでも腰を抜かしそうな事を、彼は軽々とやってのけた。メロディとは別に常にあのタラララ・ラッタン・ターという伴奏が聞こえてくるのだ。
弾き終えた時、観客の誰もがあっけにとられ、暫く拍手を忘れていた。

もう一曲アンコールがあって、こちらはバッハの無伴奏ソナタ第3番だった。こっちは一転、端正な音色で聴かせていた。

休憩時間に
「シューベルトの魔王としか、書いてなかった」(このホールではロビーのホワイトボードにアンコールの曲名を書くというサービスをしている)
「そんなもん聴いたらわかる。」
(ごもっとも)
「誰がアレンジしたかちゅう事や」
「ソリストが自分でやったいう可能性もあるで」
(成る程)



後半のサンサーンス/交響曲第3番はオルガンとオケのバランスというオーディオ的な興味があった。

オルガンが派手にはいるのは後半の楽章だけれども、オルガンの低域が鳴るのは前半の楽章の第2部である。ところが、LPで聴いてもCDでもオルガンが「ハイこここで入りました」という音の立ち上がりが明確ではない。なんとなく入っているなあという感じで、矢っ張りオケの音が主体で、オルガンは遠くで響いている。

生で聞くと、オルガンの「入」と「出」は明らかだった。目をつぶっていても、はっきりと「定位」する。
最近はコンパクトなスピーカーシステムが流行して、低音はモノでという傾向があるが、30ヘルツに手が届くような低音でもハッキリ定位している。矢張り最下音まで2本のスピーカーを用意しなければいけない。もっとも、今時の録音では再生装置に媚びて、LP時代より低音をカットしてしまっているから、「用意」が生きるソースはごく僅かしかないが。

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