消えてしまった中流階級 その2

2009年11月17日 17:16

私がいた会社では、ある程度の勤続年数になると公の出先機関や企業団体へ出向するというシステムがあった。今のように口減らしの為に行きっぱなしにするのと違い、2年程度で帰社する。経験を積ませて人脈を拡げる一種のOJTでは無かったか。

出向先でも給料が支給されるが概ね少ないので会社から補填される。
ところがこの補填がプラス即ち、会社で貰うより出向先の方が多いところが出てきた。
差額は会社が召し上げていた。社員を出稼ぎに出してるようなモノである。
ちなみに中国は留学学生に日本で支払われる手当を国が召し上げて国庫へ収納していた。

このようなケースは造船業のような国際的競合がある製造業に多かった。
円高を日本に強制的に認めさせるプラザ合意以後、各社は為替の悪夢に苛まれた。
原材料と製品の価格は為替で決まってしまうから、人件費にしわ寄せが行く。
入社当初、大学の同窓会で話をすると国際的な製造業に行った連中の方が給料は遙かに高かった。ところがベースアップが順調に行く行かないで彼我の差は逆転してしまった。


対策として常に上げられているのは生産性向上だ。
生産性の分母は人件費だが、円で支払われる人件費は為替で変動する。
給与を切り下げて分母を下げても、円高になればドルベースでは給与が上がったことになる。
分子を上げるには生産性向上、その為には技術開発と銀行屋は馬鹿の一つ覚えのように言う。
教科書にそう書いてあるのだろうが、こんなものいつまでも向上し続けらるものではない。
その上幾らしても、その度に為替が円高に振れる。
円高で名目の生産性向上がキャンセルされる。


安い人件費を求めて、企業は生産拠点を海外に移す。
雇用は失われ、残った国内労働者は人件費抑制の為更なる生産性向上を強いられる
国内でしか活動できない外食等のサービス業では、サービス残業で人が死ぬ。

中流なんて言ってる余裕はない。



民主党政権は、子育てや教育費無償の名目で家庭へ直接金を回すという。
その原資として今まであった控除を減らして充てるという。
人の財布に手を突っ込んで掠め取った金をバラまくようなものだ。
これまでも社会主義的政策は取られてきたが、民主党は更にその方向を強める。
富裕層は少々掠め取られても応えない。掠め取られて困窮するのは中流階級だ。
向上心を持って日夜努力しているのに、僅かな余裕を掠め取られてちっとも蓄積が出来ない。
這い上がろうともがいても、蟻地獄のように引きずり下ろされてしまう。
自分は中流だと思っていたのに、一つ下に流されていたのに気づかされる。
支えていた階級が崩れて、支えて貰う方に回る。

人は今日より良い明日が有るという希望がなければ、克己努力する意欲を保てない。
国債発行が税収を上回るという中で政府が力を注ぐべきは、支えて貰う人への補助金を手厚くするのでは無くて、はい上がろうとしている人を支え押し上げる施策ではないだろうか。
さもないと、やがて穴そのものが崩れて皆が生き埋めになってしまう。

経済的な日本沈没は、間近に迫っている。
のんびり指相撲なぞやっている場合ではない。



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