投稿日:2008-02-26 Tue
「再起」に続く、ディック・フランシス執筆活動復帰の第2弾一昨年、事実上の共著者である奥さんが亡くなって筆を折っていたディック・フランシスが、執筆を再開した。嬉しいことに昨年も「順調に」書き継がれていた。
今回はオーナーシェフが主人公だが、全ての作品に共通している「競馬」というバックグラウンドは変わらない。毎年一冊づつ、40作以上も一貫して同じテーマを扱っている作家は他にいない。
初期のものに比べて、構成や緊張感が緩くなってきているのは否めないが、期待はずれという程ではない。御年88歳であるが、いつまでも書き続けてほしいと願う。
投稿日:2008-02-07 Thu
これも「積ん読」の部類。前半は7つの短編からなる父母や知人の死をテーマにしてたもの。もっと若い時に読んでもそれ程共感を抱かなかっただろう。今読んで丁度よかったと思う。
父と息子の関係
「親と子が、親と子として向かい合うということは案外少ないものだね。」
「そういう言い方をすれば、息子というものはみんな親不孝だよ。苛酷な批判者だからね」
その父の死の日、著者の頭の中で父との対話がある。それによって交わすべき生前の会話のなさが救われている。
母と息子の関係
アルツハイマーで、子としては「消された」著者ではあるが、
「母とは生前何もかも話し尽くしてしまい、もう語るべき何ものも遺されていない感じてあった」
私の母は、いろいろ話しておきたいと思っていた時に一晩で亡くなってしまい、こういう訳にはいかなかった。
投稿日:2007-12-04 Tue

これは図書館の本ではない。本を整理していて見つけたのだが、読み出したら止められなくなった。
20年近く前に書かれた、まだドイツが東西に分裂している時代のネオナチ絡みの物語だ。連城=恋情。息が詰まるほど濃厚な男女の愛情物語が多い著者から、突然変異的に政治的サスペンスの傑作が生み出された。しかもヒットラーの落とし種というテーマで。
ここ数年山田正紀のミステリオペラシリーズ注目をあびているが(こちらも面白い)、ペダンチックな部分が無いだけ、かえって最後のドンデン替えしの連続が楽しめる。
こんな面白い本が絶版になっていたとは知らなかった。連城三紀彦のイメージに合わなかったのだろうか。最近再刊されたと聞く。喜ばしいことだ。
投稿日:2007-11-29 Thu

酒場放浪記 の吉田さんの本。中身が新しいと思ったら今年4月発行だった。残念ながら、放送同様、関西圏の飲み屋の情報は少ない。それでも、ゴールデン街酒や酒場星人等々の面白いエピソードが満載されている。
子供の頃、手製のモリで川魚を採って遊んだとある。いくら高知の田舎と言っても、「手製のモリ」では生年がバレる。若く見えるが、立派な団塊の世代だった。
投稿日:2007-10-24 Wed

密謀に続いて、直江兼続もの。再来年の大河ドラマの原作だ。密謀より更に先、謙信の死の3年前から始まる。川中島の古戦場を兼続が訪れる所から始まる。真田幸村も出てくるし、御館の乱の戦いにもページを裂いている。このままの形でも、充分大河ドラマの原作になるのではなかろうか。
風林火山は面白いが、井上靖の原作からはかなり外れている。先週の謙信と勘介の一騎打ちは、いくら何でもやり過ぎだ。
投稿日:2007-10-17 Wed

直江兼続を主人公とし、秀吉の天下統一から関ヶ原にかけて、謙信以後の上杉家を描いた歴史小説である。人情時代物のイメージの強い藤沢周平が、こんな作品を残しているとは知らなかった。兼続への情報提供者として、創作の脇役達を配してあるモノの、ほぼ史実通りに物語は進んでいく。それでいて読み手を飽きさせない。さすがに「匠」の作である。
直江兼続ものとしては南原幹雄の「謀将 直江兼続」を読んだことがある。あちらは、関ヶ原後三〇万石に落とされてなお、宿敵伊達と組んで徳川と一戦を交えるという、歴史小説の枠を乗り越えようとする物語であった。
再来年の大河ドラマ「天地人」は、この直江兼続が主人公とのこと。風林火山のような見応えのあるドラマになってほしいものである。
投稿日:2007-10-13 Sat

「信長の棺」「秀吉の枷」に続く、信長の遺体不明をテーマした3部作の最終作である。前作同様、面白くて一気に読んでしまった。
ラストシーンで法螺貝で「落城の譜」吹かせるという件がある。平田弘史の同名劇画を思い出す。
内容は、ほかでも紹介されているだろうから省略するが、本シリーズは作品ごとに視点が変わっている。本作品は「信長の棺」を書いたのと同一著者とは思えぬ程、歪な信長像になっている。切れ者とされた京都所司代−村井貞勝もいい加減な官僚として扱われている。普通、小説家というのは自分の描いた人物に惚れ込んでしまって、身びいきになるモノと思うが。
1930年生まれでも、この3部作がデビューときく。まだまだ、アイデアは枯渇していないはずだ。次回は、本能寺に関わった第4の人物、徳川家康の視点からの作品を期待する。本作品でも、光秀の死体は影武者か、という箇所がある。天海=明智光秀説を展開する伏線ではないだろうか。
投稿日:2007-07-21 Sat

「現代漫画博物館1945-2005」→「坊ちゃんの時代」→関川夏央を経て辿りついた。
「坊ちゃん」の後日談で、「ミステリ赤シャツ殺人事件」になっている。
宿直初日のバッタ事件、師範学校対中学の決闘事件、最後の狸・赤シャツ制裁事件すべの事件が実は裏で繋がって・・・という趣向。確かな腕を持った作家による逸品。
「「吾輩は猫である」殺人事件」ほど「飛んで」いないので、ミステリ・坊ちゃん後日談の両面から楽しめた。
何故タイトルに「贋作」とついてるのか、僅かに疑問を抱いた。
「親譲(おやゆず)りの無鉄砲(むてっぽう)で小供の時から損ばかりしている」から数行が原作から引用されているだけなのだが。
もう一度原作を読み返そうとしたが、できなかった。
昔、国語の教師に「この作品は、読み手が歳を取るほど、苦くなる」と言われた。
当時は全く理解できなかったが、今はよく解る。
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